「究極の焼きそば」を作ってみたい
ま、厳密には『麺屋歩夢』ですので”ラーメン二郎ではない”のですが、麺のジャンルとして分かりやすく説明するならG系よりも通じやすいかなと。
ここら辺、相模原市民が「横浜から来ました」って名乗るのと同じでして、相手に分かりやすくする為の配慮であり、あくまでも優しさゆえの選択ですので御了承下さい。
さて、とある流れで『麺屋歩夢』から麺を入手する事に成功した筆者でして、これをどうしたものか小一時間考えてみました。
とりあえず家に業務用の”つけ麺スープ”があったので、それで”つけ麺”的な何かを作ってみたものの……これじゃない感が半端ない感じ?
確かにそれなり美味しいですが、やはり麺に対してスープが負けている感じでして、まったくもって『麺屋歩夢』のポテンシャルを出し切れていないのは否めません。
よしんば、翌日に筆者が各種材料を揃えてラーメンのスープを作った所で結果は同じと思われ、やはり『麺屋歩夢』にまったくもって及ぶ気がしませんな。
って事はアレですかね?
確かにパスタ系にアレンジってのも思い付いたのですが、それはチョット邪道だと思うんで、ここは王道となる”焼きそば”にアレンジしてみたらどうでしょう?
そもそもが。
焼きそばってのは中華麺を茹でてから炒めていたのですが、その後「面倒だからそのまま使える麺にしてよ!」みたいな感じで”焼きそば専用の麺”が開発され、現在に至る訳で御座います。
みたいな歴史を踏まえるとラーメンの麺を使ってこそ、本物の焼きそばって事なんじゃなかろうか?
焼きそば作りには鉄板が必須である!
今回、『麺屋歩夢』の麺を使わせて頂くからには、コチラも本気でやらないと失礼だと思うので、テフロンフライパンなどは使用せずに、ガチな鉄板を使わせて頂きます。
コチラ、筆者が”粉モノ”にハマっていた時に買った極厚鉄板でして、確かに安くはありませんでしたが、その品質ゆえに生涯使える優れ物で御座います。
むしろ、火事になってもこの鉄板だけは財産として残るみたいな?
っていうか、なぜ鉄板でなければ美味しい”焼きそば”が作れないのか?
それは火力と言うよりは鉄板の圧倒的な”面積”が答えとなります。
炒めると食材からは大量の水分が出る訳ですが、それを蒸発させる為には火力と”水分が蒸発する為の広さ”が必要でして、これが満たされないとベチャッとした美味しくない奴になってしまう訳です。
つまり、火力が同じであれば開口部が大きい方が水分は飛び易いので、フライパンに比べて面積が2倍、3倍もある鉄板は圧倒的に有利な訳ですな。
しかも!
厚さ10㎜ほどの極厚鉄板であれば大量の熱を蓄積出来るので、食材を入れた際に鉄板の温度が下がりにくく、食材がこびりつきにくいのです。
勿論、茹で上げた生麺はそれなりくっつき易いので、それらを剥がす為にも”コテ”の使用は必須でして、すべてを総合して考えると「焼きそばには鉄板が最強である!」との結論になります。
具は麺と豚肉、キャベツのみである!
まあ、焼きそばにモヤシは必須と考える人は多いと思いますが、水分の塊みたいなモヤシを大量に入れるのはナンセンスでして、モヤシを入れている時点で”焼きそば”が分かってらっしゃらない可能性……あると思います。
料理と言うのは何でも足せば良いって訳ではなく、究極的には”材料を引く!”のが神髄でして、チョイ足しとか冷蔵庫にあるモノをとりあえず入れるとか、マズ飯人間にありがちな罠でしょうか?
ゆえに”焼きそば”の場合は絶対に必要な”麺、キャベツ、豚肉”の3点のみ、これこそ王道にして究極の選択で御座います。
まあ、本当は”あぶらかす”が入手出来ればそれも良しって感じですが、関東だとなかなか売ってないですからね!
まずはキャベツをざっくり切っておきましょう。
キャベツの芯は捨てても良いのですが、葉の軸の部分は集めて微塵切りにすれば具として活用出来ます。
捨てればゴミだが食べれば栄養!
基本、あまりイジらない
豚肉は包丁で切っておいても良いのですが、鉄板があるなら油を慣らしてから肉をブチ込み、コテで広げながら鉄板の上でコテを使ってカットするとソレっぽいですね。
どんどん火が入るので7割くらい肉に火が通ったらキャベツを入れましょう。
ここで下味に塩コショウを決めても良いのですが、筆者は減塩の為にソース1本で勝負する派です。
で、あらかじめ茹でて水洗いをした麺をキャベツ&肉の上に広げます。
いきなり鉄板にブチ込むと結構こびり付くので、キャベツ等の上で温めてから返すと良い感じ。
勿論、麺もラーメンの時よりも固茹で、イメージとしては8割の茹で加減で上げておくのは言うまでもありません。
粉モノの店とか行くと、焼きそばってババアお姉さんが作ってくれる事が多いのですが、思ったよりも焼きそばをイジらないんですよね~
むしろ、放置して他の所を回ったりして、忘れた頃に戻って来て返し、またどこかに行ってしまうみたいな?
この放置プレイが”美味しい焼きそばのコツ”とも言えるんじゃないでしょうか?
しっかりと材料を焼き付ける、特に麺をガッチリ焼くなら極力触らないのが正解かも知れません。
ちなみにイジり過ぎると麺が切れたりするし、いつまで経っても”焼き目”が付かないので、ここら辺は我慢が大事かと存じます。
ソースを入れてからが難しい件!
ソースは好きなのを使えば良いと思いますが、関西の地ソースとかを一升瓶で用意しとくとベターですね。
今はAmazonとかで手に入るし、ちっちゃいペットボトル入りのもあるんで、粉モノが好きなら買っておいても損はありません。
ソースを入れるとかなり焦げ付きやすくなるので、ここら辺からは付きっきりで作る感じです。
もっともコンロは常に火力全開でして、肉90秒+キャベツ180秒+麺180秒くらいで炒め終わっちゃってるので、意外とソースを投入するまでの時間は短めで御座います。
ここからは時間と言うよりも、ソースの煮詰まり加減、焦げ付き具合を見ながらフィニッシュラインを設定します。
ま、鉄板ならコテをガンガンに使えるので上下を返すように、かつ鉄板の端っこと中央を入れ替える様にコテを操ります。
で、だんだんソースの水分が飛んで詰まって来るので、「もうこれ以上やったら焦げて全滅する!」みたいな瞬間に火を止めましょう。
予熱でもかなり熱は入りますが、ソースが黒焦げになる程ではないので、限界まで攻めた方が良いですね。
”粉節、マヨ、青のり”の順番で!
あとはちゃっちゃと盛り付けて完成ですが、ここも順番が大事でして粉節(いわゆる魚粉)、マヨネーズ、青のりって順番でお願いします。
ま、マヨネーズは賛否が分かれるので無しでも可とす。
ここら辺の順番は”お好み焼き”も一緒でして、これが一番オーソドックスなスタイルだと思います。
粉節ではなく”花かつお”と言うか鰹節を使いたい人が多いと思いますが、あれはビジュアル的には良いかもですが、風味的には粉節の方が強いんで筆者は粉節派で御座います。
美味しい”焼きそば”は麺が違う!
と、言う訳で美味しい焼きそばの完成ですがどうでしょう?
恐らく写真を見て「材料入れすぎ!」みたいな突っ込みはあると思いますが、これが鉄板の実力でして、フライパンとは違うのだよとだけ言っておきましょう。
今回、『麺屋歩夢』の麺を使って思ったのは、やはりオーションを使った極太麺はメチャ合うなって感じでして、ソースに負けない強さがあります。
ってか、いわゆる”焼きそばが美味しい店”ってのは都内にもありますが、やはり自家製麺の店が多い印象でして、そこら辺が決定的な味の違いに繋がっていると思うんですよね!
今回も長々と書いてみましたが調理としては難しい部分はなく、材料も麺以外は普通に手に入る食材、つまり麺以外のアドバンテージはまったく無い訳です。
で、こんだけ悪魔的に美味しい”焼きそば”が出来たって事は、やはり麺の美味しさが決め手だって結論でFAだと思います。
噛む度に感じる麺の旨さ……これが本当の”焼きそば”ではなかろうか?
「究極の焼きそば」 総評
ま、世界一の焼きそばを目指すなら豚肉よりも”あぶらかす”で、ソースは”ヘルメス旨辛ソース”となりますが、今回も味的には大変満足出来た一品でした。
いや、ほとんど『麺屋歩夢』の麺のチカラって感じですけれども、ラーメンで絶対に勝てない以上は、逆に『麺屋歩夢』では出さない”焼きそば”と言う土俵は有りだと思うんですよね!
前から二郎系のオーションを使ったのを考えていたのですが、なかなか麺を手に入れる機会もないし、自家製麺だと切り刃がないのでモヤモヤしていたのですが、今回作って答えが出たのですっきりした筆者です。
と、言う訳で筆者が妄想していた「焼きそばにはオーションを使った極太麺!」ってのも間違いじゃないと確信した次第でして、これはどこかで始まるんじゃなないでしょうかね?
あ、あと家に鉄板があると色々な料理が一段美味しく作れるので、料理が好きな人は買った方が良いと思います。
流石にソースを使うと鉄板もガビガビですが、コンロで加熱しながらコテで剥がし、最後に油を大さじ1杯垂らして、油を使ってコテで磨くと元通りになるんで、意外と片付けは簡単ですよ?